「トクホ」など機能性のある食品の話

「特保」「トクホ」などの飲料を飲んだことのある方は多いと思います。

僕も気にはしていなくても、買ったら特保だったということもよくあります。

この制度は1991年に始まったようですが、2000年台になってから商品がどんどん出てきましたね。

では、特保ってなに??

といいますと、

・お腹の調子を整える食品

・コレステロールが高めの方食品

・血圧が高めの方食品

・ミネラルの吸収を助ける食品

・骨の健康が気になる方食品

・虫歯の原因になりにくい食品

・歯を丈夫で健康にする食品

・血糖値が気になり始めた方の食品

・血中中性脂肪、体脂肪が気になる方の食品

と以上のような食品です。

ヘルスクレーム(健康強調表示)を表示することが許可された食品です。

上記の内容を見ると、結構曖昧な表現が多いですよね。

「医薬品」や「医薬部外品」ではなく、あくまで「食品」なので、「治る」という表現ではなく、

「何々が気になる方、これをとると改善されると思いますよ」といったニュアンスです。

この「特保」に認定されるには、非常に高いハードルがあります。

私のような零細企業では、ほぼ無理だろうという研究と時間とお金をかけます。

ま、体に入れるものなので、しっかりとした研究は必要です。

なので、多くの「特保」食品は大手企業のものだと思います。

しかし、2015年に「機能性表示食品」という制度ができました。

これと「特保」との違いは、

特保が自社、もしくは自社の研究費で試験管実験、動物実験、ヒト試験を行い「許可制」であるのに対し、「機能性表示食品」は申請しようとする食品に入っている成分が機能性があるとされる量入っていればOK。その成分が他者が研究したものでもよいという「届出制」となったことです。

これにより、非常にハードルが低くなりました。

第一号はサントリーの「セサミンEX」だそうです。

一般の食品と上記のような「保健機能食品」の違いは、

機能性の表示が出来るか出来ないかです。

一般の食品は出来ません。現在のうどんは一般食品ですので機能性の表示ができませんが、「機能性表示食品」を取れば、機能性を表示できるのです。ただし、ちゃんとした機能性があるものに限りますけど。

授業では、「血圧が高めの方の食品」についてのメカニズムを教えていただきました。

最初から書くと長いしわかりにくいので要点だけ。

血圧を上げる作用のあるアンジオテンシン1からアンジオテンシン2に変換をする酵素(ACE)の活性を阻害することが出来る食品ということのようです。

りんごが黒くなるのを抑えるのに塩を使うのはなぜ??

りんごは切ってそのままにしておくと、黒くなってきますよね。

酸化です。これを防止するには塩水につけるというのは多くの方が知っていることです。

では、なぜ塩水につけると酸化しない、もしくは遅らすことができるのか!?

りんごの中には様々な酵素があります。

代表的なものは「ポリフェノールオキシダーゼ」です。これは塩分に弱く、食塩の主成分であるNaClにより、酵素反応を遅らすことができます。

ちなみに、りんごのなかでもより黒くなるのはどこでしょうか?

答えは、種の周りです。

植物にとって種は一番大事なもので、それを守るために酸素に触れると活性酸素を多く吹き付けて、種を守ろうとするのです。

活性酸素とは、健康に気をつけている方からはあまり良いイメージがないとおもいます。

読んで字のごとく「アクティブな酸素」と言うことで、体に必要なものなのです。

しかし、それが出すぎると細胞を傷つけガンになったり、老化を促進したりします。人間誰しも老化します。その活性酸素をやっつける(減少さす)酵素がスーパーオキシドジスムターゼ通称SODと呼ばれる酵素です。このSODを働きをするものは食品でもけっこうあります。

って、実はこの活性酸素については昨日習ったほやほやの情報です。

トクホや機能性食品についても興味深いことをお聞きしましたので詳しくは後日書きます。

りんごの話に戻って、鉄の刃物で切るとその鉄分と酸素が反応して黒くなります。

色素にはいろいろあり、メラニン色素というものもあります。

髪の毛を黒くしている色素です。

これが少なくなると白髪になります。

あと、肌の色もこのメラニン色素が関係しています。

実はこのメラニン色素を抑える効果が「コウジ酸」にあり、お酒造りの「杜氏」の方に色白の方が多いのはこのためだそうです。

そこで「コウジ酸」を使った化粧品がいろいろと出回っいるそうです。

野外で長時間動き回る持久系アスリートは、日焼け対策も必要ですね。

コウジ酸は日焼けを直接抑えることはできないですけど、そのダメージで起こすメラニン色素の生成を抑える効果はあるようです。

最後に先生がおっしゃられていた言葉で気になったものを書き留めます。

人為的に腐らしていくことを「発酵」と言い

偶然発酵していくことを「腐敗」と言う。

香りは人を引きるける!?

食品のことだけとっても、香りというのは美味しく食べる上で非常に重要な要素です。

人間を含め大体の動物は口の上に花があり、味と同時に香りを感知します。

花を摘んで食べると美味しいものでも、普通に食べてどぶの臭いがしたのでは美味しくないと感じるはずです。

味や色には基本があり、それを組み合わせて様々な味や色へと変化するのですが、臭いに関しては基本臭はないそうです。現在388種の臭い成分が発見されています。

臭いというのは、それを感知する受容体の疲労が早く、すぐに慣れるそうです。

ですので、自分の臭いというのは慣れてあまり臭わなくなるのです。

その、慣れを引き起こすことで、他の臭いを鋭敏に察知し、危険にも対処できるようになっているのです。

ガスの臭いをすぐに分ける、なんてその一つですよね。

ご存知の方も多いと思いますが、家庭で使うプロパンガスや都市ガスには、もともと臭いはありません。ただこのままにしておくとガス漏れに気づかないので危険です。

だから、あの「ガス臭」をわざとつけているのです。

しかもそのガス臭が「フローヤルの香り」だとか「シトラスの香り」なんて、芳香剤のような人に好まれる臭いだと、ガス漏れしても人がいい気分になるので、漏れた時不快な臭いと感じるような臭いをつけています。

メチルメルカブタンという臭い物質はガスの臭いの一部です。

フェロモンなんてのも臭いです。

それを嗅ぎ分けることができるかどうかでしょけど。

臭いも「閾値」を使います。

先ほどの「マチルメルカブタン」は閾値が0.1です。

柑橘の香り成分「ミルセン」は閾値15

グレープフルーツの香り成分「ヌートカトン」は閾値170

嫌な臭いとしては、1日履いた靴下の臭い「酪酸」の閾値は240。

ということは、結構臭う靴下は酪酸だらけということなんですね!

アルコールの主成分「エタノール」は閾値100,000ということで、ほとんど臭いがしません。

だから様々なお酒の成分の臭いを引き立たせることができるんですね。

「エタノール」の閾値が1くらいだったら、飲む時に鼻をつまんで飲まないといけなかったところです。

良い香りとされる臭いに「果物」の臭いがあります。

これには大きく「エステル」と「ラクトン」の2種類に分けられます。

これは構造式の違いで、「エステル」とは構造式の中にエステル構造という化学式が入っています。

「ラクトン」にはラクトン構造が入っています。

どんな構造かはこちらを参考に

エステル

ラクトン

で、エステル構造を持つ香気成分の主な果物は

バナナ、なし、ぶどう、オレンジ、ビルベリー、クランベリー、パイナップルなどです。

ラクトン構造を持つ香気成分の主な果物は

もも、ココナッツなどです。

エステルが圧倒的に多いですね。

爽やかな香りでしょうか。

ラクトンは甘い香りですね。

このように様々な香気成分を嗅ぎ分けながら、人は生活しています。

アロマテラピーなんてのもありますね。

臭いはリラックスをしたり、気分転換をしたりといったいい気分になる要素の一つです。

見えないものですが、生活において重要な「アイテム」ですし、食事を美味しく取るためにも重要な要素ですね!

苦味の基準

苦味も「閾値」を使います。

子供の頃は苦いものが嫌いでも、大人になると大丈夫なったりしますよね。

例えばコーヒーとかビールとか。そもそもビールはアルコールの時点で子供は✖︎ですが、苦味だけを考えられるノンアルビールでも子供の多くは美味しくないと感じるでしょう。

人間には先天的に苦味に対する感受性が高いのです。

それは苦いものは「毒」と捉えているからです。

その中で毒でないものを後天的に学習し「美味しい」と感じるようになります。

代表的なものは「カフェイン」ですね。

コーヒーやお茶の苦味成分です。

閾値は0.0007。なかなか低いですよ!

数値の低い方が苦味が強烈です。

カフェインは植物性アルカノイドで基本は「毒」です。

ただ、我々が取るレベルでは人体に影響のあるほどではないんでしょうね。

あと柑橘系に入っている苦味成分は「ナリンギン」といいます。

閾値は0.000025でカフェインより強烈です!

夏みかんや文旦などの爽やかな苦味ですね。あまりナリンギンは入ってないのでしょう。

酸味の基準

酸味の基準は「閾値(いきち)」という値で数値化されています。

この閾値を説明しているとわけがわからなくなるので、こういう名前だということで進めます。

で、この閾値が低いほうがより酸味が高いとされます。

簡単に言うと、ある感覚が1とすれば、その感覚になるのにどのくらいの量が必要がという値です。ですので、小さいほうがより濃度が高いということになります。

通常料理に使うお酢は「酢酸」です。これと混同してしまうのがゆずなどの柑橘系の酸味で「クエン酸」です。

「お酢」と「柚子酢」は同じような使い方をするので同系列と思いきや、JAS法ではお米から出来た「酢酸」と柑橘系の「果実酢」で分けられているそうです。

閾値は「酢酸」が0.0018、クエン酸が0.0023で少し酢酸のほうがすっぱさが強いです。

乳酸はヨーグルトなどの酸味で閾値は0.0016

リンゴ酸は白ワインの酸味です。白ワインで価格の高いものはリンゴ酸値も高いそうです。

では、赤ワインの酸味はといいますと乳酸です。高いワインは乳酸値が高いようです。

リンゴ酸が多い赤ワインはインチキだそうです。

ちなみに赤ワインや一部の白ワインでは、マロラティック発酵というのが行われるそうです。マロラクティック発酵とは、乳酸菌がワイン中のリンゴ酸を乳酸と炭酸ガスにする発酵のことだそうです。

リンゴ酸(マロ)が、乳酸(ラティック)に変化する発酵ということで、マロラティック発酵といいます。

次は苦味について書きます。