人間の力は偉大だった!

食品のみならず、世に出る様々な商品では人の感覚に頼った「官能試験」というものを行う事があります。

これは人間の五感

・視覚

・聴覚

・臭覚

・味覚

・触覚

を使って、これらの感覚で対象となる「試料」を評価する試験の事です。

機械ではじき出した数値では測定できない「好み」などを計る場合に多く用いられます。

食品以外では、例えば車の乗り心地だったり、スピーカーの聴き心地、アロマオイルの効果などを測定する場合に行うようです。

食品に関しては、ほとんどが「食べて」「飲んで」試験をします。

多くは「美味しさ」を求めるためですが、「美味しさ」の要因として

科学的要因は

1、味覚(舌面での味わい)

2、臭覚(食品の香り)

物理的要因は

1、視覚(色、形、大きさ、つや盛り付けなど)

2、聴覚(嚙み砕く音、ジューという音など)

3、触覚(硬さ、滑らかさ、飲みやすさなど)

こういった要因を複合して「美味しさ」が定義されます。

測定で用いられるのはこの5つで、それ以外の要因はなるべく排除します。

しかし人間は上記5つの要因以外にも「生理的要因」「心理的要因」「外的要因」が組み合わさり、複雑に絡み合って「おいしい」「まずい」を判断しています。

試験のやり方において、この「生理的要因」「心理的要因」「外的要因」を最小限にすることが求められます。

例えば疲れていたりすることで人間の感度が鈍ったり、甘いものをいつも以上においしいと感じたります。

行列のできるお店だとか、入手困難だとか、誰々がおいしいと言っていたという情報を事前に受けると、おいしいと感じたりします。

又、食べる順番によっても判断が変わる場合があります。

官能試験は「識別型」と呼ばれる人間の感覚を精密な測定器とみなし、特性や差を検出する検査と、「嗜好型」と呼ばれる、人間の総合的な判断力に頼って好ましさを調べる検査があります。

二つの検査方法、どちらをするにせよ統計学を用いて行います。

これは、官能検査以外でも用いることができるなと、結構勉強になりました。

「特別」か「特別でない」かを40回、もしくは40人の試験をもとに導き出す計算方法です。

例えばある2つの同じ種類の食品があり、どちらがおいしいか40人に食べてもらい、差があるのかという試験です。

A食品のほうがおいしいと答えたのは26人

B食品のほうがおいしいと答えたのは14人

とした場合、両方の食品に差はあるのか?といいますと、

(細かい計算式は省きます)

官能試験での結果では「差は無い」ということになるのです。

では、差があるという判断は何人であれば良いかと言いますと、

「有意水準」という数値5%では27人以上、1%では29人以上、0.1%では31人以上がおいしいと答えた時に「差がある」となります。

もう一つ

味覚検査で使われる人の識別能力を測る検査です。

1%と1.06%の塩水の濃い方を答える試験を40回した場合、正解が26回であった場合、この人は識別能力が有るか無いか!?

結果は「有る」です。

ではなぜさっきは26という数字で「無し」で今回は「有る」のかと申しますと、

どちらを選んでも構わない選択肢の場合は「両側検定」という計算方法が使われ、片方だけが正解という選択肢の場合は「片側検定」と言う計算方法が使われるからです。

では、この塩水の検査で識別能力が有る無しの基準値は!?と申しますと、

「有意水準」5%で26回、1%で28回、0.1%で31回となります。

25回以下では、偶然当たったかもしれないという事になり「識別能力無し」となるのです。

こういった計算の機能はExcelにもあるようです。

Excelってすごいですよね。

昨年経営学を学んだ時にも、投資や配当などの計算もExcelでできました。

足す引く掛ける割るなどを用いるのでなく、専用の関数があるんですね。すごい!!

もしご自分で味の識別能力が有るか無いかを調べたければ、

1%と1.06%の塩水を40回飲み比べてください。

もしかしたら「味にうるさい」人でも正解が25回以下かもしれませんよ〜

って、僕も人のことは言えません。

ま、こうして人の感覚を頼って検査をし、商品として世に出たり改良を加えてより違いを出したり、より好まれるようにしているのです。

その他にも、採点法や選択法などの分析方法があり、そこでもこの関数が用いられるようです。

人間の感覚は偉大ですね!

放射線と放射能の話

我々一般人は混同して使いがちですが、違うようです。

・放射線・・・放射性物質から出るもの(アルファー線、ベータ線、ガンマー線など)を放射線という

・放射能・・・放射性物質が放射線を出す能力を放射能という

ということです。

東日本大震災で福島第一原発が被害にあってから、よく聞く単位に「ベクレル」とか「シーベルト」とかがあると思います。

これは

・ベクレル・・・放射能の強さを表す単位

1ベクレルは1秒間に1回放射線を出す能力

・シーベルト・・・放射能を浴びた時の人体への影響度を表す単位

1mSvは1000分の1Sv

1μSvは100万分の1Sv

です。

1Svは単位として大きすぎるのでニュースなのではこちらの単位をよく使うようです。

僕なりの解釈は「ベクレル」が地震でいうマグニチュードで「シーベルト」が震度かなと解釈しています。

放射線は主に4つの線があり、透過能力に差があります。

アルファー線・・・紙1枚、又は11cmの空気層で遮断できる。

ベータ線・・・厚さ6mmのアルミ板で遮断できる。

ガンマ線・・・厚さ7cmのアルミ板、厚さ10cmの鉛板、厚さ50cmのコンクリートで遮断できる。

中性子線・・・水やコンクリートの厚い壁に含まれる水素原子によって初めて遮断できる

です。

放射線は日常地球上にもあります。しかしそれは人体に全く影響のないレベルなのですが、実は地球上でも地域差があるようです。

日本は世界の平均値よりは低いようです。世界で高い値を示しているのはイランのラムサールという地域でカスピ海のほとりにある都市です。この地域は日本の平均自然放射線の24倍の自然放射線がある地域です。

https://goo.gl/maps/anQnmiFJs7r

でもそこに住んでいる人たちを調べても、さして健康被害は出ていないようです。

どちらかというとガンの発生も低いようです。

これは、遺伝的に放射線に強い遺伝子を持っているのでしょうか?

ガンは被爆だけで起こるものではないので、それだけではなんとも言えないですね。しかもこれは外部被曝の値です。

内部被曝に目を移すと、日本の基準は世界に比べて別にゆるいわけではないようです。数値にばらつきはあるとはいえ、食品からの線量は国際基準の年間1mSvということです。そして乳幼児職人に関しては半分の年間50mSvです。

いずれにしろこの辺りは専門家でも意見の分かれることなので、素人がやすやすと意見を言えることではありません。

レントゲンを撮っても、飛行に乗っても、山に行っても被爆はします。

通常の生活であれば問題ないようですね。

ではなぜ人類は危険だと言われる放射線を出す原子力の力を使うのでしょうか?

それは、小さな質量で非常に大きなエネルギーを発生させるからです。

通常の化学反応と、原子核反応では2.3×107倍のエイネルギーの違いがあるそうです。

ウラン1g=石油2500L=石炭3トンです。

そりゃ効率を取れば原子力でしょうね。

しかし、人類はこれに手を出したことで後戻りができなくなっているのも確かです。

平和利用で使うにしても放射性廃棄物問題はどうしてもついて回るのです。

先日この放射線について講義をいただいた高知大学の沢村先生も、完全な運用はあるのだろうか?と警告されています。

高知県に住み3.11も高知県でテレビで見ていた僕としては、日頃放射線や放射能汚染について考える機会はあまりなかったので、こういった機会を食品の観点から学ぶことができたのは、良い機会でした。

ヤフーニュースに出ていた脂肪酸の話

昨日のヤフーニュースで、飽和脂肪酸の話題が出ていましたね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160706-00000021-jij_afp-int

以前からそういったことは言われていたと思いますし、大学の授業でも習いました。

この件について書いたブログです。

https://mugiyateishu33.theblog.me/posts/923753

簡単に言いますと「動物性脂肪より植物性脂肪、魚油系を摂りましょう!」ということです。

ただ、これもバランスですので、動物性脂肪を全く取らなくなるとエスキモーのように出血が止まりにくくなるようです。

少し極端なダイエット法として「炭水化物(糖質)はダメで、油はOK!肉もいくら食べても大丈夫!!」という事を言う方がいます。

その人は痩せるかもしれませんが、その体内に流れる血はドロドロということになります。

何事もバランスです。

現代の食生活でトランス脂肪酸や飽和脂肪酸を取らないというのは現実的でないと思います。

ただなるべく取らないようにする事は出来ると思いますので、気にする方は

「飽和脂肪酸」

「不飽和脂肪酸」

「多価不飽和脂肪酸」

「トランス脂肪酸」

「オメガ3」

「オメガ6」

といった脂肪酸の事を少し勉強するだけでも、それぞれの脂肪酸の働きや弊害、どの食品に多く入っているとか少ないとかがわかってくるので、生活に活かせると思います。

「トクホ」など機能性のある食品の話

「特保」「トクホ」などの飲料を飲んだことのある方は多いと思います。

僕も気にはしていなくても、買ったら特保だったということもよくあります。

この制度は1991年に始まったようですが、2000年台になってから商品がどんどん出てきましたね。

では、特保ってなに??

といいますと、

・お腹の調子を整える食品

・コレステロールが高めの方食品

・血圧が高めの方食品

・ミネラルの吸収を助ける食品

・骨の健康が気になる方食品

・虫歯の原因になりにくい食品

・歯を丈夫で健康にする食品

・血糖値が気になり始めた方の食品

・血中中性脂肪、体脂肪が気になる方の食品

と以上のような食品です。

ヘルスクレーム(健康強調表示)を表示することが許可された食品です。

上記の内容を見ると、結構曖昧な表現が多いですよね。

「医薬品」や「医薬部外品」ではなく、あくまで「食品」なので、「治る」という表現ではなく、

「何々が気になる方、これをとると改善されると思いますよ」といったニュアンスです。

この「特保」に認定されるには、非常に高いハードルがあります。

私のような零細企業では、ほぼ無理だろうという研究と時間とお金をかけます。

ま、体に入れるものなので、しっかりとした研究は必要です。

なので、多くの「特保」食品は大手企業のものだと思います。

しかし、2015年に「機能性表示食品」という制度ができました。

これと「特保」との違いは、

特保が自社、もしくは自社の研究費で試験管実験、動物実験、ヒト試験を行い「許可制」であるのに対し、「機能性表示食品」は申請しようとする食品に入っている成分が機能性があるとされる量入っていればOK。その成分が他者が研究したものでもよいという「届出制」となったことです。

これにより、非常にハードルが低くなりました。

第一号はサントリーの「セサミンEX」だそうです。

一般の食品と上記のような「保健機能食品」の違いは、

機能性の表示が出来るか出来ないかです。

一般の食品は出来ません。現在のうどんは一般食品ですので機能性の表示ができませんが、「機能性表示食品」を取れば、機能性を表示できるのです。ただし、ちゃんとした機能性があるものに限りますけど。

授業では、「血圧が高めの方の食品」についてのメカニズムを教えていただきました。

最初から書くと長いしわかりにくいので要点だけ。

血圧を上げる作用のあるアンジオテンシン1からアンジオテンシン2に変換をする酵素(ACE)の活性を阻害することが出来る食品ということのようです。

りんごが黒くなるのを抑えるのに塩を使うのはなぜ??

りんごは切ってそのままにしておくと、黒くなってきますよね。

酸化です。これを防止するには塩水につけるというのは多くの方が知っていることです。

では、なぜ塩水につけると酸化しない、もしくは遅らすことができるのか!?

りんごの中には様々な酵素があります。

代表的なものは「ポリフェノールオキシダーゼ」です。これは塩分に弱く、食塩の主成分であるNaClにより、酵素反応を遅らすことができます。

ちなみに、りんごのなかでもより黒くなるのはどこでしょうか?

答えは、種の周りです。

植物にとって種は一番大事なもので、それを守るために酸素に触れると活性酸素を多く吹き付けて、種を守ろうとするのです。

活性酸素とは、健康に気をつけている方からはあまり良いイメージがないとおもいます。

読んで字のごとく「アクティブな酸素」と言うことで、体に必要なものなのです。

しかし、それが出すぎると細胞を傷つけガンになったり、老化を促進したりします。人間誰しも老化します。その活性酸素をやっつける(減少さす)酵素がスーパーオキシドジスムターゼ通称SODと呼ばれる酵素です。このSODを働きをするものは食品でもけっこうあります。

って、実はこの活性酸素については昨日習ったほやほやの情報です。

トクホや機能性食品についても興味深いことをお聞きしましたので詳しくは後日書きます。

りんごの話に戻って、鉄の刃物で切るとその鉄分と酸素が反応して黒くなります。

色素にはいろいろあり、メラニン色素というものもあります。

髪の毛を黒くしている色素です。

これが少なくなると白髪になります。

あと、肌の色もこのメラニン色素が関係しています。

実はこのメラニン色素を抑える効果が「コウジ酸」にあり、お酒造りの「杜氏」の方に色白の方が多いのはこのためだそうです。

そこで「コウジ酸」を使った化粧品がいろいろと出回っいるそうです。

野外で長時間動き回る持久系アスリートは、日焼け対策も必要ですね。

コウジ酸は日焼けを直接抑えることはできないですけど、そのダメージで起こすメラニン色素の生成を抑える効果はあるようです。

最後に先生がおっしゃられていた言葉で気になったものを書き留めます。

人為的に腐らしていくことを「発酵」と言い

偶然発酵していくことを「腐敗」と言う。